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名SE、名PMにあらず?

<<前回の続き>>

 今回は、ベンダー側のPM(Project Manager:プロジェクト管理者)の資質について書いてみます。

 ただし、全てのPMではなく、優秀と評価されているPMや一部の例外を除く「少なくない」PMと理解して下さい。また、私の経験からの「個人的な感想」としてお読み下さい。


 国内の多くのPMは長年にわたるSE経験者です。システム開発でのSE経験が10数年ともなるとサブPMとなり、やがてはPMへと昇格します。
 しかし、SEとPMでは求められる資質が異なります。



 SEにも本来は高いコミュニケーション能力が求められますが、たとえコミュニケーションが苦手な人でも、システム設計というSEの仕事が出来ているように見えれば、その問題を指摘されることはまずなく、そのまま経験を積んでPMになる人もいます。







 プロジェクトの途中で、多くの要件の追加や変更(多くは要件の引き出しや確認不足が原因)によってスケジュールの維持が難しくなると、多くのSEの方たちはPMやベンダー側責任者からは「君しかいない」「頑張るしかない」「頑張ろうよ」と言われ、ただ「頑張り続ける」ことを身につけます。






 また周りのSEの忙しさを見ていると、他の人に迷惑をかけられないので「自分で頑張るしかない」と思い、黙って頑張ります。

 例えPMやその上司に助けを求めても、返って来る答えが見えていますし。

 そして、そうした経験を多く積んだSEがPMに昇格する頃には、最後まで自力で頑張る、自分自身でやり遂げる、その困難を克服することが自分の中枢にしっかり刻み込まれてしまいます。これを誇りに思っているSEやPMもいるかもしれません。


 しかし、PMに求められる資質を分かりやすく書くと、可能な限り早期に煙や火種を見つけて、拡大しないよう、消火できるよう素早く手当てをしながらも、万一を考えて早めに人に助けを求めておく(準備をしておく)ことです。「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」に書かれている「ヒューマンスキル」が大きく求められます。

 誰にも助けを求めず、相談せず、自力で何とかしようと頑張ることではありません。


 早めに上司に報告や相談したり、ユーザー企業側の責任者に要件に追加や変更の実状を説明して、対応策を一緒に検討したりと動き回ることが求められます。

 工数不足が予想されたら、「3ヶ月後くらいに3人の増員が必要になりそうです。できればAさんの投入を検討しておいて下さい」と責任者の耳に入れておきます。


 そしてしばらく経過すると、「やはり来月下旬から3人必要です。間違いなくAさんが必要です」と言って責任者を動かします。


 また、日常の管理の中で、自分の管理下にある複数のチームリーダーからの報告を受けたような場合には、相手に合わせて動きます。

 例えば3人のチームリーダーがいて、3人とも「順調です」と答えても、「今回のBさんの『順調』は怪しいのでここを確認しておこう」、「Cさんの『順調』は信じて良さそうだけれども、ここが気になるので、ここだけは確認しておこう」、「Dさんの『順調』はいつも怪しいので、毎回これを報告させるようにしよう」といった判断をします。

 Dさん配下の担当者の顔色も見て、「Eさん、ここのところ大変そうだけれども、今どんな感じ?」とDさんの管理の穴(不足点)を見つけて改善に動きます。



 コミュニケーションが苦手で、かつ、一人で頑張ることが当たり前になっているSEタイプのPMは、多くの場合、こうしたことをしません(できません)。

 最悪の場合、下からの「順調です」という報告をそのまま真に受けてしまいますし、何かあっても自分が頑張るしかないという意識が根底にあり、事実(問題)に気付いたときには火は簡単には消せないほど大きくなってしまっていることが少なくありません。



 特に協力ソフトウェア会社に再委託しているような場合には、特に「任せっきり」になってしまう傾向(危険)が高まりますので、問題点が隠された報告を真に受けて、危険度が一層高まってしまう可能性は決して低くありません。


<<次回に続く>>






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