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要件が正しく伝わらない理由

<<前回の続き>>

 前回は、要件を話す(出す)側が十分に話さない、話せない(出せない)ということを書いてきましたが、今回は聴く側の話(問題)を書かせて頂きます。
 私はよく「あんぱん」の話をしたり書いたりするのですが、お客様(ユーザー)がベンダーのSE(Systems Engineer)に「あんぱんが欲しい」と言ったとします。




 それを聞いた今の多くのSEは「分かりました」と言って外に出て、近くのコンビニに入って目に入った「あんぱん」を買って依頼者に「どうぞ」と渡します。

 ところが、「あんぱん」と言ってもいろいろな種類があります。






 私が知っているだけでも「つぶあん」「こしあん」「しろあん」「栗あん」「うぐいすあん」がありますし、塩漬けの桜の花がのった「あんぱん」もあります。

 この依頼者はいくつ欲しいのか個数を言っていませんし、いつ欲しいのかも言っていません。






 そうすると、依頼者が期待した「あんぱん」と違う「あんぱん」を、期待された時間と異なる時間に買って来てしまう可能性が高くなります。個数も違うかもしれません。

 これがプロフェッショナルなSEならどう対応するでしょう。






 お客様に「あんぱんが欲しい」と言われたら、「どんなあんぱんが宜しいでしょうか?」「お好みはありますか?」「メーカーのご希望はありますか?」「いくつお持ちしましょうか?」「多めにお持ちしましょうか?」「何時頃お持ちしましょうか」「ついでにお茶もお持ちしましょうか?」「お茶は温かいのと冷たいのはどちらが宜しいでしょうか?」「お好きな銘柄はありますか」などと聞いて、お客様の依頼(要件)の精度を高めて、お客様の満足度が一層高まる「あんぱん」を提供します。

 この違いの大きさは分かりますよね。


 要件定義の話にもどりますが、SE がお客様から要件を聞いたあと、ベンダー内部では別の問題が発生します。

 まずSEは、お客様からお聞きした内容を文字に落として行きますが、ここでも「漏れなく正しく」文字化される確率はそれほど高くありません。






 よく「SEが聞いた内容とメモに書かれた内容は一致しない」と言われますが、私自身も自分が書いたノートを振り返り、書いた内容の意味が分からない(思い出せない)ことがあります(笑)

 そうなのです。ただでさえ十分に引き出しきれていない要件が、ここでさらに情報の欠落や誤解を起こします。




 そして、お客様からSEへと始まった「伝言ゲーム」がベンダー社内でさらに続き、SEから他のSEやプログラマー、場合によっては文化や日常の使用言語が異なる海外のプログラマーなどへの伝言が続きます。

 SEからSEへの伝言には、元請けベンダーから環境の異なる協力ソフトウェア会社のSEへの伝言も含まれます。


 ここでも多くの場合、文化や基本的な考え方、用語の定義が異なります。


<<次回に続く>>



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