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求められる確固たる決意


<<前回の続き>>

 多くの国内企業では、ERP導入プロジェクトの目的(要求)がいつの間にか忘れられ、現場へのERPというパッケージ・ソフトウェアの導入そのものが目的としてすり替わってしまったのです。

 当時のERPパッケージは多くが欧米製でしたので、レポート(帳票)には罫線が印刷されていませんでした。



 すると、「罫線が無いと見づらい」「読み間違える」「作業効率が落ちる」といったことで、何十(何百)もの帳票に罫線を印刷するという追加開発が行われました。

 また、パッケージ・ソフトウェアですので、当時画面ごとの機能がシンプルに作られていたため、それまでの手作り(オーダー・メイド)のシステムでは1画面で多くのことが出来ていたのに対して、ERPパッケージでは何画面も使わなくてはならず、「操作性が悪く生産性が落ちる」ということで、さらに追加開発が行われてしまいました。



 当時は教科書的に、ERPパッケージは既製服と同じで「手を加えずそのまま使う」「アドオンやカスタマイズ(追加開発、変更)は厳禁」と言われ叫ばれていたのですが、多くの企業では掛け声だけで終わってしまいました。

 また、アドオンやカスタマイズを厳しく制限するために、中には社長の承認を必要とした企業もありましたが、「この機能が無いと出荷が遅れる」「請求書が出せないケースがある」といった現場からの脅しによって、このルールが形骸化してしまいました。


 こうした追加開発や変更が行われると、確実に品質(Q)、予算(C)、開発期間(D)に影響してしまいます。



 それ以上に問題なのは、当初のプロジェクトの投資目的(要求)であった「業務革新」が「現行業務の維持と改善」に塗り替えられてしまい、あっという間に元の木阿弥です。

 こうしたことにより、当時企業のERPパケージ導入に貢献していたERP研究推進フォーラムが公開していたデータによると、予算や開発期間が守られたプロジェクトは三分の一だけで、三分の一で予算や開発期間の超過を起こし、残る三分の一では、予算、開発期間が計画を大幅に超過してしまっていました。



 それだけ追加開発や変更が多かったとういうことで、もともとの要求(目的)であった欧米先進企業に倣った「業務革新(BPR)」が行われることなく、「現行業務維持」が目的にすり替わってしまっていたことが容易に推察できます。

 つまり、プロジェクトの目的、QCDの全てが崩壊してしまっていた訳です。





 このように、プロジェクトのそもそもの目的をいかにしっかり軸として、土台として置けるか、貫けるかが、(経営者の)「要求」実現の成否を大きく分けると言えます。



 それを死守するためにプロジェクトの目的のユーザーへの説明と説得といった「ユーザー・マネジメント」が絶対に必要な訳ですし、説得する側にも確固たる決意が求められます。


<<次回に続く>>







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