タグ: , , ,

著作権条項での留意点(その3)

 著作権の譲渡を受けていないと発生しがちな問題もあります。

 

 前回ご紹介介しましたが、ユーザー企業が著作権の譲渡を受けておいて良かったと感じた理由の中に「改修や再利用の際にベンダーに依存しないで済む」というものがありました。

 リーマン・ショック直後のITコスト削減ブーム(?)のときに、システムの保守運用をより安価なベンダーに変更したいと考えた企業も少なくありませんでした。

 この際、もし著作権の譲渡を受けていない場合には、まず開発ベンダーとの間で、他のベンダーにプログラムの改修を行わせたいという交渉を行わなければなりません。

 もし、ベンダーとの関係が悪化しており、開発ベンダーがこれを拒否したらどうなるでしょう。

 そうです。開発ベンダーにロックインされてしまうことになります。ベンダーが著作権の譲渡を嫌う理由がここに隠れているのかもしれません。

 また、ベンダーが著作権法(第47条の3:下記参照)を持ち出して、「著作権がユーザー企業に譲渡されていなくても、ユーザー企業内で通常の使用に必要な翻案は可能なので心配ありませんよ」と言っても、慎重に確認、検討しましょう。

 しかし、第47条の3の対象はあくまでもプログラムであり、仕様書等のドキュメントが含まれていないことに気付きましょう。

 基本的にはプログラムの改修を行う場合、まず仕様書の改修を行いますよね。著作権法では、プログラムの翻案は良いけれども仕様書の翻案をして良いとは書いていません。

 また、「自ら利用するために必要と認められる限度」という制限もあり、「翻案」には機能の追加や変更がどこまで含まれるか不透明なことも要注意です。許されるのは、バグ修正と法改正対応だけかもしれません。

 「IT契約の実態」でも書きましたが、ベンダーには契約専門部署があり、専門の担当者(プロ)がいるのです。

 それに引き換えユーザー企業ではどうでしょうか。本当に素人に近いですよね。

 ですから、契約書の内容には特に気を付けなればなりませんし、できれば専門家である弁護士の力を借りた方が良いでしょう。

【著作権法 第四十七条の三】
プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。


※(株)プラッサムの「IT人材育成支援(研修)サービス」のご案内は こちらです。

※Amazon Kindle本「IT契約超入門」は、