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損害賠償条項における留意点(その3)



 前回
も書きましたが、一般のIT(SI)契約ではその損害賠償請求額には上限が決められている場合が多く、ほとんどの場合は契約金額が上限とされています。  

 しかし、ベンダーとの力関係にもよりますが、上限を設けていないユーザー企業もあることも知っておいて下さい。私は上限を設けていないユーザー企業を複数社知っています。  




 また、上限が設けられたケースでも「故意または重大な過失」の場合には、上限を設けないとの記述がある場合もありますが、「故意または重大な過失」と認められない場合には、事業にとって非常に大きな損害を被っても、1,000万円あるいは1億円といった(個別契約の)契約金額が上限となってしまうかもしれません。  




 少なくとも「帰責事由の直接の原因となった個別契約」といった記述があれば、こうした限定(制約)を取り除いたり、同一プロジェクトの関連契約の「契約総額」としたりして防衛しましょう。  








 前にも書きましたが、契約書に記述がなければ、民法や商法の規定が適用され、損害賠償請求の上限額がありません。  


 多くの場合そうですが、制約に関する記述が紛れていれば、ベンダー側にリスク軽減の意図がありますので、ぜひそれに気づいて下さい。  







 私が驚いた契約があります。その契約は情報システムの保守運用に関わるものだったのですが、損害賠償請求額の条件に「支払済みの代金」が上限と書かれていました。  

 例えば、毎年4月から翌年3月までの年間契約でその費用を毎月払っていたとします。4月分あるいは5月分の支払いが6月末だったとして、もし4月に大きな事故が発生したらどうでしょう。  




 その契約ではまだ支払いを1度もしていませんので、請求できる金額はゼロです。  


 再度書きますが、損害賠償請求額の上限の規定がある場合には、慎重にその文言を読んで意味を正しく理解して、上限の取り外し、あるいは、いかに不公平であるかを主張して納得できる上限にしてもらいましょう。  







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