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IT契約の実態

数年前ですが、私はIT(SI)契約の内容がユーザー企業とベンダーのどちらに有利になっていると思うかを、大手ユーザー企業数十社のIT部門長にアンケートで確認したことがあります。
その結果、「明らかに自社に有利になっている」と回答した企業はゼロで、「どちらかと言うと自社に有利になっている」と回答したところが14.8%でした。
これに対して、11.1%のユーザー企業が「明らかにベンダーに有利である」、29.6%が「どちらかというとベンダーに有利である」と回答し、合わせると40.7%もの企業がベンダーに有利と回答していました。

また「ほぼ対等であると思う」と回答した企業が48.1%もありましたが、私の経験から、ベンダーに有利になっていることに気付いていない場合も少なくないのではないかと思っています。
一般のユーザー企業には、契約に関して法務担当部門があったり、担当者がいたりしますが、通常はこれらの部署や担当者はIT(SI)契約に長けているわけではなく、その契約内容の精査をIT専門家であるIT部門にも期待していることもあります。

一方、当然のことながらベンダー側には契約専門の部署があり、法務に詳しい担当者が複数存在します。外資系ベンダーの場合には、本社との連携もあるでしょう。
こうした状況から、ユーザー企業がもともと不利な立場にあることは容易に推察できますよね。
完全武装のベンダーと丸腰(素手)のユーザー企業を想像してみて下さい。契約に関しては、実際にそんな感じなのです。
また、前にも書きましたが、発注者側として契約書の内容に問題があり、ベンダーと契約内容の見直しについての交渉を始めても、ベンダーには堅い守りがあります。

ですから、何度会議を開いても行ったり来たりで時間がかかり、簡単には話が進みません。
私も若い頃、ベンダーが提示した契約書案を机に叩き付けて「バカにするな」と会議室を出て行った経験があります(笑)
挙げ句の果ては、ベンダー企業から「契約を締結しなければ作業に着手できません」「せっかく優秀な人材を集めて構成した開発体制を残念ながら維持できません」と言われたりします。

また、「見積りの見直し(アップ)をさせて頂きます」と言われたりして、契約の早期締結の圧力を受け、結局のところ不満を感じながらも時間切れで締結せざるをえなくなってしまうケースも少なくありません。
そんな経験を実際にされた方も多いのではないでしょうか。ベンダーが引き延ばし戦略を取っているのかもしれないと感じる場合もあるでしょう。

上で書きました私の調査では、訴訟に至らないまでもベンダーと契約に関連した対決を経験したユーザー企業は18.5%にも上っていました。
ユーザー企業は今までのように「人がいないから」「時間がないから」と言っているだけでは済まされなくなっていることを改めて認識しましょう。

IT契約に関する責任部門はどこなのでしょうか。
<次回に続く>

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