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IT契約の形態:請負契約


 まず、IT(SI)契約における3つの形態をご紹介しておきます。請負契約、準委任契約、派遣契約の3つです。

 
 最初に「請負契約」ですが、ソフトウェア開発の委託では「請負」という言葉を使わず「業務委託」などとしている契約も見受けられますが、実態としては請負契約になっています。  


 民法(632条)によれば、請負契約は当事者の一方がある仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対してその当事者に報酬を与えることを約束することによって効力が生じるものとされています。      



 一般的に日常生活における請負契約では住宅の建築やリフォーム、洋服のオーダーメイド、荷物の配送など、仕事の目的物や成果が明確になっていて、注文通りに仕事が完成しているかどうかを目で見て確認できます。  


 家の間取りが契約時の見取り図と異なれば改修を要求でき、洋服の仕上がりサイズが注文内容と異なれば無償で修理を要求できます。  


 つまり、仕事が完成していなければ、その責任を問い、報酬の支払いを拒否することができます。      



 しかし、システム開発の場合、仕様書等のドキュメントであれば目で確認できますが、巨大で複雑なソフトウェアそのものの完成度を外観だけで確認することはほぼ不可能でしょう。  


 目に見えないソフトウェアが注文通りできているかどうかは、主に受け入れテスト(検収作業)によって完成していると判断できるかどうかを確かめることになります。  


 しかし、複雑な大規模システムでは、完璧に検査しようと思っても、検査(確認)すべき項目は膨大な数に上り、それらが各種条件によって複雑に関係し合っています。

 検査漏れも出るでしょうし、確認ミスも起きるでしょう。      



 このように、ソフトウェア開発の請負契約では、目では簡単に確認することが出来ない完成物に対して、契約書で決められている検収期間内にソフトウェアが注文通りに作動するかどうかをすべて確認しなければなりません。  


 極端な話、目に見える画面や帳票だけを見ながら、手探りで目に見えないソフトウェアの複雑な中身を確認しなければならないということを、しっかり頭に刻んでおきましょう。    


<次回に続く>  


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