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ITオンチ社長のために:IT部門の実態(その2)

今回は、IT部門が置かれている立場と実態について、私が書いたAmazon Kindle本「ベンダーマネジメント超入門」の一部を引用します。
コンピュータが電子計算機と呼ばれていた時代には、経理や給与計算などの業務の効率化を目的としたコンピュータ(IT)の導入が行われ、そのIT化の作業を行う人材が経理部門内や経営情報システム部などといった新設組織に集められました。
その当時は、プログラミングが得意な技術者が、社内の業務に精通した専門家に頻繁に話を聞きながら仕様書を書き、場合によってはより良い提案を行って、人の作業を代行するIT(情報システム)を開発して運用していました。

しかし、その後IT化対象業務の大幅な拡大と複雑化、他社を差別化するための戦略的なITの導入、新技術の導入、国々の諸事情に合わせながらのグローバル化対応など、ITに対するニーズが一気に拡大し、内容も大幅に変化してきました。
それと並行するように、コンピュータや通信機器の性能だけではなく利用技術そのもの、サービス、活用方法にも大きな変化が起き、その変化のスピードが日々上がってきています。
こうした背景から、多くの企業では社内のIT部門、IT人材だけでは対応が追いつかなくなってしまいました。

IT部門では新規に情報システムを開発するだけではなく、過去に開発した既存の情報システムの保守運用も行わなければならないのです。
そこで、人(工数)や技術力の不足を補うために外部のベンダーの活用が拡大して行きました。
また、GEのジャック・ウェルチ氏が実践し、P.F.ドラッガー氏が推奨した「選択と集中」の影響も受けたのでしょう。

社内利用を目的としたITは「本業」ではないと認識され、国内では1980年代後半から1990年代前半にかけて情報システム子会社作りがブーム的に行われました。
そのため、社内のIT部門に所属していた多くのIT人材が新設された情報システム子会社に異動になり、社内のIT部門に残った少数の人材が主に社内のITの企画と管理を行うようになりました。
しかし、多くは管理(特に予算管理)に重点が置かれ、ITの開発や保守運用の現場からは遠くはなれてしまいました。

それだけではなく、人事や経理の業務現場、事業部門の現場とも距離が広がってしまいました。
現場との密なコミュニケーションを司るRM(Relationship Manager)の設置が一時叫ばれたこともありますが、その言葉も今では殆ど聞かれなくなってしまいました。
(次回に続く)

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