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QCDの実態:「企業IT動向調査報告書2016」より

IMG_1815 今年もJUAS(日本情報システム・ユーザー協会)から「企業IT動向調査報告書」が発行されました(調査は2015年10月)。この報告書は毎年発行され、内容は毎回一部変わるものの多くのデータについては経年変化が見られて大変有効です。  

 その中で、私が定点観測しているのが「システム開発における工期・予算・品質の状況」で、特に500人月(約5億円)以上の規模のものに関心を持って見ています。  



スクリーンショット 2016-07-01 17.20.29 製造業ではよくQCD(Quality:品質、Cost:費用や予算、Delivery:納期や開発期間)という言葉が使われますが、この要素をシステム開発に当てはめて、工期・予算・品質の3つの軸で見ています。    


 今回公開された500人月以上の規模のプロジェクトデータ(n=215)を見ますと、まだまだ改善が進んでいないところが多いようです。(このグラフは「企業IT動向調査報告書」のデータを基に私が毎年アップデートしているものです。)  


 まず、開発が計画期間内に終了したところが21.9%、ある程度予定通りが35.8%、(明らかに)遅延が42.3%と、計画通りに完了したところは5社に1社でした。  

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 「ある程度予定通り」ですが、これは1週間から2週間遅れたというものも含まれますが、システムの利用開始を分割して一部の機能が予定通りになったものも含まれると思われます。    


 次に予算面ですが、予算内で終了は22.6%、ある程度予算内が35.0%、(明らかに)超過が42.4%でした。  

 これも予算を遵守できたのは、5社に1社だけです。ここの「ある程度予算内」には、予算の追加やかき集めの他、機能の一部切り捨ても含まれるのではないかと推察します。  




 ここまでのところでも、開発期間、予算ともに守れたのは多くても21.9%なのです。  


a0002_012009 この原因の多くは、ユーザー企業側の要件の追加や変更が多かったことであると思われますが、それをコントロールして早め早めの手を打てなかったベンダー企業側、特にPM(Project Manager:プロジェクト管理者)の方のプロとしての資質や力量の不足も大きな原因の一つになっているものと考えられます。    


 最後に品質に関するデータを見てみましょう。品質に満足は何と14.2%、ある程度は満足が59.6%、品質に(明らかに)不満が何と26.1%なのです。品質に満足している企業は7社に1社だけで、不満に感じている企業が4社に1社もあるという訳です。    


 私はあちこちで書いていますが、国内のベンダー企業は自社の要員の質の不足に気付いており、問題意識を持ちながら改善が進まないのが実状だと思います。  

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 そうであれば、ユーザー企業がベンダー企業への期待レベルを大きく下げて、ご自分たちでの管理やベンダーのPM等に対するチェック機能(能力)を高める必要があると思います。

 そうしなければ、この問題はいつまでたっても解決しないでしょう。今までもそうであったように。。。      


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