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プロジェクトの「管理の管理」(前編)

Vemdor Management前回(「絶対に不利にしてはならない契約の締結」)に続いて、今年(2016年)の2月4日にAmazonのKindle(電子書籍)で発行させて頂いた、「ベンダーマネジメント超入門」の内容を少しずつご紹介させて頂いています。
 
 ベンダーとの契約手続きが完了すると、ベンダーの開発チームが契約に従って作業を開始します。多くの場合、IT部門や情報システム子会社がベンダーの「管理の管理」に当たります。  

 ベンダー側にはPMがいて、いわゆるQCD管理の他、リスク管理やユーザー部門との調整、交渉を行い、発注者と合意をとりながらプロジェクトを進めますが、私の経験では発注者側の「管理の管理」がまだまだ十分とは言えず、ITプロジェクトのQCDの実態は驚くような状況です。
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 JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)が毎年「企業IT動向調査報告書」を発行しています。その中に、ほぼ毎年、ITの開発プロジェクトのQCDについての択一式アンケートの調査結果が掲載されており、たとえば2015年版には2014年度の調査結果が示されています。ぜひ一度ご覧下さい(2016年版も既に発行されています)。  

 開発規模が大きいほど特徴が出ますので、ここでは500人月以上の規模のプロジェクトの実態をご紹介します(回答企業は約180社)。ご存じのように「1人月」というのは、たとえばSE1人の1ヶ月の作業工数です。SE1人が5ヶ月作業すると5人月、SE2人が6ヶ月作業すると12人月になります。   a0001_009298


 また、SEの単価(各SEの1人月当たりの費用)も幅が大きいのですが、分かりやすく1人月を100万円とすると、10人月は1000万円となり、この例の500人月以上というのは5億円以上ということになります。    


 まずQ(品質への満足状況)ですが、「満足」が22.0%、「不満」が26.9%と5社に1社程度しか品質に満足している企業はありません。残る51.1%は「ある程度は満足」を選択していますが、「満足」を選択しなかったということは、ある程度の不満を抱えていると読めます。ここでいう品質には機能面での満足度も含まれていると思われます。   a0008_001844


 次にC(予算の遵守状況)ですが、「予定通り」が32.1%で、「超過」は37.5%です。その中間の「ある程度は予定通り」は30.4%ですが、予算が守れなかったことに違いはありません。すなわち、予算を守れたプロジェクトは3社に1社しかなかったということです。  


 最後にD(納期遵守状況)ですが、「予定通り完了」は25.5%、「予定より遅延」は48.4%、「ある程度予定通り」は26.1%でした。


 このように、計画通りに開発を終えられたプロジェクトは4社に1社しかなく、約半数は大幅に遅延したと読めます。こうして見ると、QCDすべてを満足したプロジェクトは最大でも22.0%しかないということです。5社に1社です。開発規模が小さいほど数値的には良くなりますが、これが実状なのです。  

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 本来ベンダー内のQCD管理はPMが行っていますが、それが十分ではないことが多いため、発注者側によるその「管理の管理」が必要になる訳です。
   

 C(費用)とD(開発期間)の超過の原因は、ベンダーよりも頻繁に要件を追加したり変更したりする発注者側にあることが多いのですが、ベンダー側の管理が十分かどうか、問題をどのように発見してどのように対応しているかを定期的に確認する必要があります。また、Q(品質)の根本原因はベンダー側にありますので、日々その管理をどのようにしているのかに、しっかり目を向けましょう。    


》》「次回(後編)」に続く    

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