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絶対に不利にしてはならない契約の締結

Vemdor Management 4前回(「失敗しないベンダー選定」)に続いて、今年(2016年)の2月4日にAmazonのKindle(電子書籍)で発行させて頂いた、「ベンダーマネジメント超入門」の内容を少しずつご紹介させて頂いています。

一部の企業ではIT(特にSI)に関する契約書の雛形を持っているところもありますが、多くはベンダー側が用意した契約書の内容について法務部門等を交えて検討し、問題がなければそのまま契約書に社長や購買部門長等の名前を記載し捺印され、契約が発効します。

しかし、発注者側にとって不利になるような条項が見つかると、ベンダーとの交渉を持ち、両者が納得できる内容に書き換えます。でも、この時点で問題が見つかると、両者の交渉に時間がかかります。


a0001_007762 ベンダー側はベンダー側の契約の専門部門との調整、発注者側は法務部門や社外の顧問弁護士との相談、考えが合わないときの双方による調整は簡単ではありません。ベンダーが外資系であれば「本社との調整」が必要になる場合があり、さらに時間が掛かることになります。

 このタイミングで契約内容の交渉に入ると、発注者側が不利になる傾向があります。その理由は、発注者側には時間制限があるからです。

 もともと計画した開発スケジュール等に、こうした契約条項での調整や交渉にかかる時間は殆ど想定されていません。しかし、契約が締結されなければベンダーの開発への参加はありえません。つまり、タダでさえ遅れがちなITプロジェクトにおいて、契約締結の遅れがそのまま開発スタートでのつまずき、そして開発の遅れに直結する訳です。


a0001_009298 また、ベンダー側は「貴社のプロジェクトのために社内の優秀な人材を集めて体制を整えているが、契約(=開発着手)が遅れると、そういった人材の確保が難しくなります」といって脅してきます。そうなると、発注者側は、契約面で不利であることが分かっていても契約しにサインせざるを得なくなる訳です。

こういうことも少なくありませんので、私がお薦めしているのは、RFPの段階で、重要と考える契約条項についての相手側の基本姿勢を確認しておくということです。


a1180_014235 2 重要な条項の1つに損害賠償請求に関するものがあります。「直接の結果として現実に被った通常の損害」という文言を良く見かけますし、一見簡単な文章ですが、皆さん意味が分かるでしょうか。「直接の結果」「現実に被った」「通常の」といった言葉が何を意味しているのか、正しくは説明できないと思います。私の会社のホームページに簡単に説明してありますので、ぜひご覧下さい。


またその損害賠償請求額には上限が決められている場合が多く、ほとんどの場合は契約金額が上限とされています。しかし、ベンダーとの力関係にもよりますが、上限を設けていないユーザー企業があることも知っておいて下さい。


 上限が設けられたケースでも「故意または重大な過失」の場合には、上限を設けないとの記述がある場合もありますが、「重大」という言葉でももめることがあると思いませんか。そして「故意または重大な過失」と認められない場合には、事業にとって非常に大きな損害を被っても、1,000万円あるいは1億円といった契約金額が上限となってしまいます。


a0008_001880 2 保守運用契約で毎月払いの契約では「支払済みの」金額が上限とされることもありますので要注意です。契約(更新)直後で、その契約下での支払いが一度も行われていないタイミングで、もし事故が発生し大きな損害を被っても、請求できる金額がゼロかもしれません。  



 

》》「次回」に続く  

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